新年にあたって(2013年1月)

日本栄養・食糧学会 会長(平成24・25年度):宮澤陽夫

日本栄養・食糧学会:宮澤陽夫

新年を迎えるにあたり、会員の皆様にご挨拶を申し上げます。

日本栄養・食糧学会の平成24年度および25年度の会長職をあずかることになりました。本会は、平成23年9月から公益社団法人となり、社会に貢献する公益的な学術法人として順調に歩みだしております。本会は昭和22年に設立されましたので、今年で66年の歴史を刻むことになります。栄養学と食糧学を連携させ、日本医学会ともその第14分科会として関係を保ちつつ、新しい学問領域を開拓し発展させてきました。我が国の戦後の食糧難の克服と現在ある健康長寿社会の創出に、学術面から本会は大きく貢献してきたといえるでしょう。

 本会の今年の最大事業は、5月24日(金)から26日(日)に名古屋大学で開催される、第67回日本栄養・食糧学会大会です。会頭の下村吉治教授を先頭に、順調に準備が進められてきております。名古屋での開催は、昭和61年に吉田昭先生が会頭をされて以来27年ぶりとのことです。特別講演、シンポジウム、教育講演、スポンサードセミナー、市民公開講座など、充実した内容が企画されています。会員の皆様、そして栄養学と食糧学以外の領域の皆様方にも是非ご参加いただき、600題以上の講演発表とともに活発な討論を交わし、研究の成果についておおいに盛り上がる素晴らしい大会にしていただきたくお願い申し上げます。

国際交流について、これは本会会員の研究成果のグローバルな展開、国際社会への貢献、そしてなにより若手会員の育成と活性化において極めて重要と感じております。本会は、2015年5月にパシフィコ横浜で開催される第12回アジア栄養学会議(ACN)を主催します。目下、本学会内にACN2015組織委員会を設置し具体的な行動を始めたところです。

同年の第69回日本栄養・食糧学会大会ですが、このACN2015との合同開催とする計画となっています。アジアだけでなく世界中から関連の研究者が集い、最先端の研究成果を共有、議論し、交流を深めることのできる絶好の機会ですので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。参加費に関しては、国際会議ということで例年の大会より多くのご負担をお願いすることになりますが、我が国では1987年以来のACN開催ですので、多くの皆様のご参加により栄養学・食糧学の更なる発展の機会として盛り上げていただきますようお願い申し上げます。

プログラムや発表形式などは今後検討を重ねますが、一般講演につきましては、ACN2015と第69回大会の両方に発表することになるため、発表は全て英語とし、大部分はポスター形式となる予定です。この年の発表を全て英語にすることは、本学会の国際化をさらに推進するうえでの弾みになることでしょう。すでにACN2015のホームページを公開し、順次情報を更新しておりますので、ぜひ一度ご覧いただければ幸いです。

国外の学会との連携に関しては、現在までに、台湾、中国、韓国の関連学会と交流協定を結びました。今年の名古屋大会では、韓国栄養学会(KNS)のHyun-Kyung Moon 2012年度会長とJung Han Yoon Park 2013年度会長が講演をされ、本会とMOU(Memorandum of Understanding)締結式を行います。ACN2015では、日本学術会議のIUNS分科会(清水誠委員長)や関連学協会、産業界との強い連携が必要です。

これをステップに、とくに本会の中堅・若手会員とともに、国際栄養学会議(ICN)の我が国への招致へと国際的な活動をさらに展開することになるでしょう。当面の目標として、ICN2021を日本に招致することを目指した活動を行っていますが、それについては本年9月にスペインのグラナダで開催されるICN2013の総会で開催地が決定される予定です。この準備には、IUNS分科会と連携しつつ、本会の国際交流委員会と広報委員会が行動することになります。

学会強化では、基本的には、社会と研究者に魅力ある活動をすることで、会員増を図ることが必要と感じます。とくに本会は、会員と産業界との産学連携研究が大変に活発です。この流れは今後さらに拡大していくと思われますし、学会強化の面からは非常に重要と感じます。年次大会においても産業界との共同研究の成果が多く発表されています。なかには基礎研究から発展して新しい製品の技術開発に結び付く素晴らしい発表があります。このような、栄養・食糧学に関する新しい技術開発を表彰する制度もそろそろ必要かと思っております。なお、共同研究などについて本会未加入で発表されている企業様には是非賛助会員として本会に加入していただきたくお願い申し上げます。

本会の機関誌である日本栄養・食糧学会誌の充実、日本ビタミン学会と共同編集しているJournal of Nutritional Science and Vitaminology誌の査読迅速化と国際化、日本医学会との連携と医師会員増、関連他学会との連携や資格認定と単位認定などの協力、国外関係学会との連携推進、会員の情報交換の場としての学会ホームページの充実、新しい学会ロゴマークの決定、会計面のガバナンスの強化、利益相反に関する対応検討なども進めます。

本会の活動について常日頃強くご支援をいただいている、とくに賛助会員の企業の皆様には心よりお礼を申し上げます。

4,500名の会員の皆様と共に、我が国の栄養・食糧学を代表する学会として、魅力ある活動を今年も進めて参ります。ご支援とご協力を、よろしくお願い申し上げます。