会長あいさつ
会員のみなさまへ
日本栄養・食糧学会 会長(平成24・25年度):宮澤陽夫
青葉萌ゆる五月の仙台大会総会で、日本栄養・食糧学会の平成24年度および25年度の会長職をあずかることになりました。本会は、平成23年9月1日から公益社団法人となり、会員のみなさまのご協力と担当理事のご尽力により、社会に貢献する公益的な学術法人として順調に歩みだしたところです。さてご挨拶ですが、現在、本会について感じていることを申し述べさせていただきます。
はじめに、本会の歴史です。敗戦後の我が国の栄養不足に専門家が対処するため、昭和22年に本会が設立されました。今年で65年目です。栄養学と食糧学を連携させた新しい学問領域を、日本医学会の第14分科会として医学とも深い関係を保ちつつ、開拓・発展させてきました。これにより本会は、我が国の健康長寿の推進に学術面から大きく貢献してきたと云えるでしょう。
現在では、栄養過多、生活習慣病、老化性障害への対応など、社会環境の変化を反映して研究対象も変移し、多様化、深化してきております。今後、一層の研究の進展が期待されますし、栄養不足から栄養過多に至る諸課題についての本会会員のみなさまのこれまでの研究成果は、とくにアジア地域の健康福祉に大きく貢献することでしょう。この観点からの研究推進と国際連携は、今後益々重要になると感じております。2015年にパシフィコ横浜で本会が主催する第12回アジア栄養学会議(ACN)は、まさにこれまでの栄養・食糧学研究の成果を集大成する事業です。そこには、日本学術会議のIUNS分科会や関連学協会、産業界との強い連携が必須であります。本会の中堅・若手研究者とともに、将来の国際栄養学会議(ICN)の我が国への招致を視野に入れた国際的な活動も必要になるでしょう。
つぎは、学会活動の強化についてです。基本的には、社会と研究者に魅力ある学会活動をすることで、会員増を図ることができるでしょう。年次大会と支部活動の事業企画が大変重要になると感じております。会員が参加して勉強になりためになるような、会員へのサービスが大切です。学会賞についてはできれば中堅・若手の素晴らしい研究成果を顕彰して、受賞された先生方はその後、本会で存分にご活躍いただきたいと思います。さらに、本会では会員と産業界との産学連携研究が非常に活発です。この流れは今後さらに拡大していくものと思われます。年次大会においても産業界との共同研究の成果が大変多く発表されています。なかには基礎研究から発展して新しい製品の技術開発に結び付く素晴らしい発表があります。このような、栄養・食糧学に関する新しい技術開発を表彰する制度を設けることもそろそろ必要ではないかと感じております。
さらに、本会の機関誌である日本栄養・食糧学会誌の定期刊行、日本ビタミン学会と共同編集しているJournal of Nutritional Science and Vitaminologyの一層の国際化、公開シンポジウムや出版事業など公益性の拡大、日本医学会との連携と医師会員増、関連他学会との連携や資格認定と単位認可などの協力緊密化、国外関係学会とのMOU(Memorandum of Understanding)締結による連携推進、年次大会の内容充実、学会ホームページの会員の情報交換の場としての充実、新しい学会ロゴマークの決定、会計面における理事会ガバナンスの強化、利益相反に関する対応検討など、当面の任務があります。
最後になりましたが、公益法人化と事務局体制の強化にあたっては井越道晴前事務局長には大変にお世話になり、ここにお礼を申し上げます。今は幸いにして高野 靖現事務局長はじめ事務局機能が整備されておりますので大変助かります。
会員のみなさまと共に、我が国の栄養・食糧学を代表する学会として、魅力ある事業展開を進めて参ります。ご支援とご協力を、どうかよろしくお願い申し上げます。